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心を掘り起こす5

  27, 2019 06:32
 反応はすぐに出た。花田のパソコンに映し出される美貴の部屋が模様替えになっていた。カメラからパソコンの手元を映らない位置に机を移動した。専務はこれを偶然のことだと判断した。美貴はさっそく反撃に出た。
「参った」
 部屋に頭を抱えた専務が花田の前に座った。牙は昼食に出かけようとしてこの映像を見た。花田は渡されたメールのコピーを見ている。
「ファイナンスが今月の借り入れのジャンプは最低5億の内入れを条件として来るなんて」
「そんな金は捻出できない。銀行の支払いだけでも資金不足なのだ」
 その時ドアがノックされた。入ってきたのは仮面を被ったような経理部長の美貴だ。
「どうして急に?」
「メインバンクの当社の調査がファイナンスに漏れたようです。当社はこれで要注意先に指定されています」
と言うともう用はないと言うように部屋を出て行く。美貴が反撃に出たのだ。
 牙は思い出したようにネットで調べていた組長射殺後の逃走を追いかけている。逃げているのは戎会の3人と言うことになっている。警察ではホテルの地下の駐車場の防犯カメラで写った写真を公表している。さらにその後その車は大阪の大正区の公園で捨てられているのが見つかった。
 汚れたワイシャツを被りアパートを出て西成署に入る。それから刑事課を覗く。やはりまだゴンさんは残っていて牙を見つけると手を上げて出てきた。いつものように飯屋に入ってビールを抜く。
「もう張り込みは辞めたのですか?」
「ああ、今は捜査は大正署に移った。今しらみつぶしで調べているわ。俺の最後の仕事が飛んで行った」
 その時ゴンさんの携帯が鳴った。
「何やて?3人のうちの1人が殺された?場所は?」
「眼鏡桟橋の下・・・」
 よく聞こえない。兄貴が殺されたのか?ゴンさんはもう飛び出している。路地を走ると西成署の前でパトカーに乗り込む。牙もタクシーでパトカーを追いかける。すでにテープが張られている。野次馬の混じって現場を覗き込む。









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